江戸時代から続く伝統技法を
"今"に繋ぐ「ビワコットン」の魅力とは

琵琶湖の恵みを一身に受ける滋賀県高島市で、江戸時代から連綿と作り続けられる縮(ちぢみ)生地を源流とする「ビワコットン」。 同地で作られる生地はなぜ150年以上に渡って日本人に愛されているのか。そしてその伝統生地を現代のデイリーウェアにアジャストさせるため、更に進化させたビワコットンはどんな魅力を秘めているのか。 ビワコットンに魅了されて一部のレディースアイテムも監修したスタイリストの轟木節子さんと、ビワコットン開発のキーマンである杉岡織布の杉岡定弘さんに、その生産過程などを交えつつ、魅力をたっぷり語っていただきました。

ビワコットンを作るには、
伝統技法を転用するだけでなく"進化"が求められた

轟木さん(以下敬称略):初めてビワコットンに触れたのは、昨年の夏。ある雑誌で"涼"を感じるものを紹介する企画があって、代官山のインテリアショップにリサーチしに行った時に出会ったんですが、この細か〜い凹凸のある独特な肌触りに"これは凄く気持ちいい!"ってビビッときたんです。物作りの背景を伝える説明文も読んでさらに感激して、すぐにメーカーさんに問い合わせてその雑誌に掲載する許可をもらいました。

杉岡さん(以下敬称略):目利きのスタイリストさんにそこまで気に入っていただけて光栄です。ビワコットンは生地の名前でもあるし、その生地を使った衣類のブランド名でもあるんですが、性別関係なくユニセックスで展開されているので、女性にもこの生地にしかない気持ちよさを感じていただけたみたいで安心しました。

轟木:ビワコットンのサラッとした心地良さって、初めての感覚です! 他のコットン100%のTシャツとは明らかに肌触りが違う。やっぱり生地の作り方に秘密があるんでしょうか?

杉岡:企業秘密の部分もあるので全部は教えられないんですが、そもそもビワコットンは滋賀県高島市に江戸時代から続く伝統産業「高島ちぢみ」の技法を元に開発したものなんです。"ちぢみ"は皆さんが馴染み深い"ステテコ"とも呼ばれる日本古来の清涼素材。大まかに言うと、普通の糸よりも強く撚っている強撚糸を使って、隙間を設けて生地を織り、独特のシワをつけることで完成するものです。糸を撚る会社、生地を織る会社、シワ加工して洗う会社などなど、いくつもの専業メーカー達が協力して、はじめてひとつの生地が完成させられるんです。

各工程をスペシャリストが担当し、協力して1枚の生地を完成させていく

糸を撚る

生地を織る

シワをつける

糊を落とす

轟木:そうなんですね! 一枚の生地を作るためにこんなに多くのメーカーさんたちが関わっているとは知りませんでした。江戸時代から続く伝統技法が今も受け継がれているなんて素晴らしいですね!

杉岡:いや、まだ感動していただくのは少し早いんですよ(苦笑)。というのも、ビワコットンを作るには、そうした高島ちぢみの製法をそのまま転用すれば良い訳では無かったんです。何と言っても、目指したのはあくまでファッションとしてデイリーに着用できる生地やアイテムを作ること。だから元来ちぢみ生地が持っている特徴をもっとブラッシュアップしていく必要があったんです。

轟木:それって生地作りに携わる全ての人たちの協力が必要ですよね。凄いエネルギーを注がれたんですね。

杉岡:正直大変でした(苦笑)。例えばまず糸。高島ちぢみはただでさえ普通の糸より強く撚った糸を使ってるんですが、ビワコットンにはよりドライな肌触りが求められていたので、それより何倍も強く、ほとんど限界まで強く糸を撚ってもらってます。

轟木:ほんとだ! 糸がもの凄く縮れていて、普通の糸とは見るからに違う!

杉岡:そうなんですよ。これだけ強く撚られた糸を、生地に織り上げる作業がこれまた大変でした。織ってる最中にどんどん縮んでいっちゃって、完成させられるまでに何度もトライ&エラーを繰り返しましたね。そのほかにも、多分全工程の職人達が、高島ちぢみを生産する時以上に神経をすり減らしてビワコットンを作り上げていると思います。

轟木:努力の結晶ですね。おかげでこんなに伸縮性に富んでいて、見た目も美しい生地に仕上がったんですね。シワ加工の凹凸効果で、普通のTシャツに比べて肌離れもいい。身につけている時の快適さはもう無敵ですね!

杉岡:そうおっしゃっていただけて本当に苦労した甲斐がありました(笑)。

色々な服を着慣れているモデルさんまで
"これ気持ちいい!"って感動してました

轟木:ファッション誌の撮影でビワコットンのTシャツをスタイリングに使ったことがあるんですけど、着用したモデルさんが"凄く気持ちいい! どこで買えるの?"と感動してくださって。日頃から色々な服を身につけているモデルさんに響くって凄いですよね。

杉岡:それは嬉しい。実際に一度着ていただければリピーターになっていただけると信じてます。なんといっても、高温多湿な日本にあって江戸時代から現在まで親しまれている清涼生地ですから、これからも変わらず感動していただけるだろうと。

轟木:私もすっかりビワコットンファンになっちゃいました。最初の雑誌掲載がご縁で、コラボレーション企画も実現したんですが、ビワコットンであったら嬉しいアイテムのアイデアがたくさんありすぎて困りました(笑)。メンズ、レディースどちらも幅広い層に受け入れられてそうです。

轟木さんが監修したレディスアイテム

レギュラー展開されているアイテム

杉岡:手前味噌で恐縮なんですが、確かに完成した商品を見たらビワコットンには高島ちぢみとはまた違う魅力があるし、今までちぢみ生地に触れてこられなかった方々にも喜んでいただけると確信しました。

轟木:今はシンプルでベーシックな中にこだわりを感じ取れる…言うなれば本物志向の人が増えているので、きっとそういう方達もたくさん興味を持ってくれそうです。本のようなパッケージも凄く素敵で、贈り物にもいいですしね。

杉岡:それはまた嬉しい! いつかギフトの定番品のひとつとして定着してもらえたら、これほど幸せなことはありませんね。

轟木:私もそうなる日が来るように、ギフトを贈る時はビワコットンを送るようにします(笑)。

杉岡:ぜひよろしくお願いします(笑)

(右)株式会社 杉岡織布
代表取締役社長
杉岡定弘さん

滋賀県高島市で1955年に創業した老舗の三代目。
同市に点在する、ちぢみ作りに関連する企業と協力して、ビワコットン製作の陣頭指揮をとったキーマン。 自ら工場に立つ現場主義者にして、自社製生地を海外まで精力的に広めている。

(左)スタイリスト
轟木節子さん

女性誌を中心に幅広く活躍する敏腕。
長年ファッションに携わってきた審美眼を活かして、ビワコットン生地を使ったレディスアイテムも企画。